10/4 バンコク - メーホンソン

《7年ぶりのメーホンソン》

チェンマイで乗り継いだ飛行機は、翼が山にふれそうなくらい山と山の間をずんずん降下していく。
以前、来たときは確かプロペラ機だった気がするが今回はれっきとしたジェット。
そういえばそんなニュースもいつか聞いたような気がする。
ジェット機就航にあわせたのか、ラオスの田舎の空港とたいして変わらなかった空港ターミナルさえも真新しくなっていた。

ターミナル前にたむろしていたトゥクトゥク（40THB）で市内へ向かう。
あの時はメインストリートでさえ、ラテライトの埃の舞うダートロードだった。
ひとたび雨が降ればドロドロのどうしようもない道で、その両側に高床式住居が並んでいたが、いまではその面影すらない。
田舎町とはいえ、この7年間の間のタイの経済発展状況をひしひしと感じる。

『歩き方』で目星をつけておいたバイヨーク・シャレーの薄暗いロビーを横切り、暇そうにしているレセプションのおねぇちゃんに話し掛ける。
「部屋、空いてる？」
「はい、あります。ひとりですか？」
「そう、ひとり。一晩ね。いくら？」
「698THBで朝食つきです」
「どんな部屋があるの？」
「全室エアコンつきです」
部屋を見せてもらう。
旧式の壊れかかったようなエアコン、トイレ・ホットシャワー付き。
地方都市でこの設備はちょっと高いけど洗濯には好都合のベランダもあることだし、ま、いいか。
天気がいいので荷物を解くとさっそく汗臭い下着類の洗濯。
風もあるから日向に干しておけば3時間もあればきっと乾くだろう。

《バイクを借りて》

ホテルの近くにレンタバイク屋があった。
以前訪れた場所をもう一度見てみたいというのが今回のテーマ。
それなら記憶を頼りに自由に走り回れるバイクは好都合だ。
ついでに前回行けなかった郊外にもちょっと足を伸ばしてみよう。
「モーターサイを借りたいんだけど」
「1日200THBです」
「いつまでに返せばいいの？」
「24時間だから明日の4時までに返して下さい」
デポジット代わりにパスポートを預け、とりあえずタム・プラーという魚がいる洞窟を目指す。
バイク屋のにいちゃんによると街から19kmとのこと。
店でもらったメーホンソン周辺の手書き地図を頼りに国道をひたすら北上する。

タイ人が口をそろえて言うように、ルーイ県と同様、メーホンソン県は緑が多くてきれいだ。
道の両側には森。
その中を縫うようにして激しくアップダウンを繰り返しながらワインディングロードは続く。
ルーイもそうだったが、ここだけを切り取ったらとてもタイとは思えない。
夕暮れ間近ということもあるが、標高が高いせいかTシャツ1枚でバイクに乗っているとちょっと肌寒い。

《タム・プラー》

いくつめかのコーナを曲がるとタム・プラーの標識が見えてきた。
売店前にバイクを止めると、おばちゃんが「買わないかい？」とバナナ焼きを前にして声をかけてくる。
「いま、お腹いっぱいなんだよ。いらない」
他に客の見当たらないおばちゃんはまた商売仲間との雑談にもどる。

車止めのゲートを通り過ぎ遊歩道を歩いていくと、ここにもビジターセンターがあった。
ここでキャンプもできるらしい。
タイの国立公園はどこもみなこんな感じできれいに整備されているようだ。
きれいに刈られた芝生が広がっているのもプーカドゥンのときとまったく同じ。
いつか、キャンプ用具一式を持参してこんなところでキャンプをしてみたいものだ。

小さなつり橋を渡る。
橋の上から小川を覗くと体調7,80cmはありそうな鯉に似た魚が10匹ほど、上流に口をあけてえさが流れてくるのを待っている。
ここでルアーを落としたらさぞかし、入れ食い状態だろうなぁ、と思ったがさすがに国立公園内じゃやっぱり禁漁か。
あ〜、釣りしてぇ〜。釣れるところで。

その小川沿いにさらに遊歩道を進むと洞窟のようなところに仏像が奉ってあるのが見えてきた。
手前の売店にいたおばちゃんに『魚のえさはいらんかい？』と聞かれたのを『魚料理はいらんか？』と勘違いして『おなかいっぱい』と答えてしまい、後になって恥ずかしくなった。
洞窟、といっても岩の下に小川が流れているだけで人が入れる様子はないが、そこにまるで遡上する鮭のようにさきほど見かけた魚が押し合いへし合いわさわさしていた。
ある意味、ちょっとグロテスク。
ためしにそこら辺に落ちていたタバコの吸殻を落としてみたら、激しく奪い合っていた。
人間もこの中に落ちたらきっとピラニアのように片っ端から噛み付かれることだろう。
そろそろマジで肌寒くなってきたので街に戻ることにする。

《明日はどこへ？》

さて、明日はどこに行こうか。バイクに乗りながら考える。
10/7までにバンコクに戻ればいいから、チェンマイまでの間にもう1泊できる。
このまま飛行機で飛べば40分でチェンマイに行くことはできるがそれじゃ味気ない。
だとしたらバスになる。
『歩き方』によるとチェンマイ方面へ行くバスにはメーサリアンを経由する南回りルートとパーイを経由する北周りルートがあるらしい。
どちらにしても情報はまったくないのでどっちでも変わりはないんだけど。
バスターミナル（というほど立派ではないが）で時刻表を確認すると、パーイ行きはちょうどいい時間にバスがあった。
じゃあ、そっちにするか、といつものように気軽に決定する。
地図を見た限りではパーイは小さな街のようなので大きそうなメーサリアンより面白いかもしれないし。
それにしても、ここに停まっているバスってあのおんぼろしかないけど、やっぱりあれかなぁ。

《Fernレストラン》

いったんホテルに戻ってから近くのFernレストランという店へ晩飯を食べに行く。
オープンテラス風でギターの生演奏があったりするしゃれたつくりの店。
でも、座ってまもなく蚊に脚を2,3箇所刺された。
オープンなのはいいけどタイはこれだからなぁ。

ヘート・ホーン・オップシーイウ
ガイホー・バイトーイ
ガイ・パット・メマムアン
ビア・チャンx2
コーヒー
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362THB

ヘート・ホーン・オップシーイウ

ヘート・ホーン・オップシーイウは醤油で味付けしたしいたけを軽くあげたもの。
初めて食べたがこれがなかなかうまい。
ちょっとしょっぱめだがご飯と一緒なら合うだろう。あ、もちろんビールにも。
ガイホー・バイトーイはバンコクのプアンケーオでたまに食べる鶏肉をささのような葉で包んで揚げたもの。
プアンケーオのもなかなかうまいのだが、ここのも肉がジューシーで満足できる味。
ガイ・パット・メマムアンは普通かな。
蚊さえいなければ店の雰囲気といい、味といい、満足できる店だった。

from 2001/11/25