（2014/10）

どこか目新しいところはないかといつものようにネット上を徘徊していると、こちらでワット・サムパーンというのが目に止まった。
さっそくGoogle mapで調べてみると、かの有名なローズガーデンの先にあるらしい。
とは言いつつローズガーデンですら行ったことがないのでそちらもついでに寄ってみることにした。

ロットゥー乗り場

Google mapのルート検索によると『アヌサワリーから路線バスに乗ってサーイタイ(南バスターミナル)まで行きそこでバスを乗り換えろ。そのあとは車(ローカルバスかソンテウかは不明)、最後は徒歩』みたいなルート案内だったのだが、それならわざわざサーイタイまで行かずともナコンパトム行きのロットゥーを途中で降りてそこでモタサイか(もし走っているなら)タクシーを捕まえればいいだろうとCMPのロットゥー乗り場に向かう。

ナコンパトムに向かうにはプッタモントンをかすめる338号線とその一本南側のペットカセムと呼ばれる4号線の二つのルートがある。
ロットゥーカウンターのおねぇちゃんにそのどちらのルートを通るのか尋ねるもうまく通じず、iPadの地図を見せると「キープン(蝋人形博物館)に行くんですか」とぼけてくれる。
「そうじゃなくてここに行きたいんだけど」と（道からちょっと奥まった）ワットサムパーンのポイントを示すと「そこは通りません」
そりゃわかってるんだよ！
あー、そういえばタイ人、地図を読めないんだった。

たぶん338号線を行くんだろうなと「降りたらタクシーで向かうからこの4号線の交差点近くで降ろしてもらえるか」と言っているところに運転手が現れ「タクシーでもなんでも走ってるから大丈夫」と請け負ってくれた。

と、走り始めたロットゥー。
Google mapを見ているとペットカセムでなくやはり338号線を進んでいた。orz

1時間ほどでペットカセムとの合流地点に到着。
運ちゃんに声をかけ歩道橋の所で降ろしてもらい反対側に渡ると間もなくタクシーがやって来たのでオンボロでかつなぜか小便臭いその車でワットサムパーンに向かってもらう。

ワット・サムパーン

この通りは大通りとは違いタクシーはあまり走っておらずモタサイも見かけなかったので20分ほどここで待ってもらうことにして車を降りる。

車を降りるとすぐに白装束の尼僧がワイをして近づいてきた。
こんなところに来るのはタイ人しかいないのだろう、早口のタイ語で施設の説明をし始める。
部分的に分かったその解説によると高さは17階建て、部屋は100以上あるとのこと。

見上げてみるとピンクの色をした円柱状の塔の周囲を龍が取り付いている。
塔の周辺を歩いて見たのちにサンダルを脱いで建物内に入るとエレベーターは故障中らしく階段を登り始める。
確か17階建てだったよな。。

しかも階段にはネズミかコウモリかどちらかわからない糞が相当の量散らばっていて、さらにゴキブリの死骸も多数。
そこを裸足で歩いていかなければならない。
清潔好きの人には絶対に無理だろう。
これはブッダが与えたもうた苦行の一つなんだろうか。
フロアは工事中の2階を除いて人気なし、期せずしてお化け屋敷のよう。

ガランとした最上階までたどり着くとそこはワンフロアがハトの巣状態。
窓は全て塞がっているのに一体どこから入ってきたのだろう。
そしてところどころ糞の山。
それを避けながら歩いていると滅多に人が来ないためか、パニックになったハトが室内を激しく飛び交いボコン、ボコンと窓にぶち当たっているものも多数、ととにかくすごい状況だった。

そこからもさらに階段は続いておりそれを登りきると屋上。
中央には人造の木が生えておりその傍にオレンジの袈裟を纏った老僧が独り佇んでいた。
人形かと思ったらこちらに気づいて振り返ったのでワイで挨拶する。(タイの基本)

同じステージにはベビークリシュナーならぬ幼児期のブッダとそれにまとわる女官の像が2体。
この年齢のブッダはまだ悟りは開いていないはずなので、ここから下の階にむかってこれからブッダの人生を描いていこうという算段なんだろうか。

その屋上から周囲を見渡すとサムパーン周辺に見えるのは小さな工場と畑、荒野とタイのどこにでもありそうな田舎の風景。
屋上から屋根を見上げると塔にしがみついている龍の頭が見えた。

各階にあった廃墟の部屋から思うに多分僧坊を作ろうとしていたのだろうがよくわからない。
結局この塔はなにをしたくて何のために作られ、運用開始はいつなのだろう。
最初にいろいろ説明してくれた尼僧に尋ねれば丁寧に(タイ語で)解説してくれたのだろうか。。

敷地内には大きな亀の像や白い象の像などが点在していたが地獄があるわけでもなくエンターテイメント性は低く、周りに貼られている手形・足型入りタイルがタイの寺にしてはちょっと変わっているくらいだった。

タイ国内にはこのような巨大仏教施設はあちこちにあるがここを見てタイ人がどういう対応をするのかは興味がある。

ローズガーデン

待たせていたタクシーでロースガーデンに向かう。

せっかくここまで来たのでかの有名なカルチャーショーを見ていこうとチケットを購入すると始まるのは2時15分スタートのことでまだ1時間以上あった。
なので『先に昼飯』と係のおじさんに告げると奥の方を指差された。

客はあまり入っていない土産物屋を眺めながら歩いて行くとその並びの端に食堂があった。
一応クーポン制のようだが100THBを渡すと40THBとのことで、なるほど全ての料理(とは言っても全てぶっかけ飯)が一律40THBだった。
ビールはなく健全な施設のようだ。

手前には立派なレストランもあるようだったから、バスでやってくる外国人観光客はそちらへ、ここの従業員とガイド、タイ人客はこちらでということになっているのだろう。
作り置きながら結構まともなガパオムーサップ・カイダーオをゆっくり食べてから園内に進んでいく。

ショーの始まるまでの時間、園内を歩いてみると、昔の農機具やらインドネシアのガムランのような楽器、飼われている水牛、焼き物の窯、案山子、糸織り機などが実演を交えて展示されていた。
ここは確か民間の会社が運営していたはずだが、お役所の作った屋外博物館風。

象のショー

予定通りの2時15分になると音楽と共に英語のアナウンスが流れ3頭の象が登場。
木材をひいたり、気持ちよさそうに水浴をしたり、子象のフラダンスがあったりと一通りのショーが行われ15分程度で終了。
こういうものは変化がないと飽きられてしまうからこのくらいの時間がちょうどいいだろう。

でもこれで600THBはだいぶ高いよな、と思っていると「では皆さん、次はあちらの建物に移動してください」と係員に案内される。
外国人が2/3と確かに比率は多いのだが、タイの小学生グループもいるのに全て英語。
誰を対象にしているのかはこれでよくわかる。

ぞろぞろとそちらの建物に移動していくと3方向に階段状の座席が並べられ中央は土間でできたステージが設置されていた。
その向こうには一段高い舞台。

タイカルチャーショー

ここで20分くらい待たされたのちにガムランのような楽器の演奏からスタートしてカルチャーショーが始まる。

まずは子供やらおばちゃん達が出てきて昔ながらの路上市場の再現。
菅笠をかぶり天秤棒を下ろして商売をしているおばさんの周りに子供たちが群がる。
その合間を微笑みながら歩く女性たち。
まるでどこかの博物館の再現映像か蝋人形館のよう。
このステージは象に乗った僧侶（にしてはかなり質素）がやってきて終わる。

次はタイ古典舞踏。
こういうのを見るのは最初の来タイ以来20年ぶりくらいだろう。
今にして思えば衣装、指先の使い方などがカンボジアのアプサラダンスやインドネシアのバリ舞踏にも似ている気がする。

4つ目はおなじみのムエタイショー。
ルンピニスタジアムに行くまでもなくパッタヤーのバーでもやっていたりするのだがそれすらも見るのはたぶん20年ぶり。
ショーの割りに結構本気で蹴りを入れているようで、一方の選手のハゲ具合がちょっと物悲しかったりした。

次は棒術の演舞。
これもこれでユーモアを交えていて面白い。

そしてカップルの手に来賓が水を垂らしていくタイ式の結婚式の紹介。
タイ人と結婚した知り合いからよく聞く光景である。

最後は村祭りの様子。
二本に並べられた竹がリズムに合わせてパチパチあわされる合間を男女が踊りながら上手い具合に渡っていく。
バックミュージックはモーラム（イサーン地方の音楽）。

というわけでだいたい1時間のショー。
これはこれでタイの文化を紹介するにはコンパクトにまとまっておりなかなかいいのではないだろうか。
洗練されているしグループツアーに人気のあるのもよくわかる。

タイに関わって20年ながらローズガーデンは初めてだったがここはオカマショーに並んでやはり定番のオススメコースである。

ただここに来るならぜひツアーかホテルカーの借り切りで。

客待ちをしているタクシーなどなかったので雨がやむのを待って大通りまで歩いて車を捕まえるも「ロットゥーもあるけど乗り換えしなくていいのか」とやたら気にしているタクシーでうちまで帰る。

データ

移動

その他費用