虎の足跡。真新しい。
ドアをノックする音で目が覚めた。
「Breakfast!｣
時計を見ると6時前だ。早いな〜。普段の生活とはずいぶん違う。
「すぐ行くよ！」
返事をしてもそもそと起き出す。曇っているのかまだ薄暗い。
ベッドに蚊帳が付いていたせいで、ベッドに入ってからは蚊帳が短かった足もとを数か所さされただけですんだ。
トースト、目玉焼き、コーヒーのあまりうまくない食事を済ませる。
今朝のアクティビティはJungle Walkだそうだ。
「長袖の目立たない服を着てこい」ガイドが指示する。
肌を守るというよりも動物から見つからないようにとの理由らしい。
ガイドはカーキ色の上下とどこかの軍隊のようだ。
ガイドの後に付いて牛を威嚇しながら放牧地を横切り、川に出た。
川沿いに小舟が数席繋がれている。
「カヌーにのって川を下る」
へっ？カヌー？カヌーってもう少しかっこいいんじゃないの。
これは丸太をくり抜いただけじゃん。
ま、それでも一応はカヌーって言うのかな。
ガイド、ガイドと同じ服装のガイド助手、私、それに漕ぎ手の4人でカヌーに乗り込んだ。
周りの風景を見ながらのんびりと川を下る。
きれいなブルーの鳥、蛇のような体をした鳥などが見られる。
所々急流になっているところを通ったりして、たとえひっくり返ったとしても浅いしなかなか楽しい。
おっと、体はぬれてもいいんだが、カメラとパスポートはまずいぞ。
やっぱり、ひっくり返るのはやめてほしいぞ。
30分ほどで対岸に上陸。いよいよJungle Walkが始まる。
ジャングルというから木々が鬱蒼と生い茂って薄暗いのかと思ったがそれほどでもない。
日本のどこにでもある、裏山という感じだ。
違いがあるとすれば熊笹の代わりに背丈ほどのエレファントグラスがおいしげっているくらいだ。
ガイドが突然立ち止まった。右手で私を制し辺りをうかがっている。
しばし緊張。
「なに？なにか感じた？」
「いや、サイがいるかもしれないのでチェックしているんだ」
サイ？サイってどんな格好してたっけ？
カバに似ているような気がするけど。
「サイって危険なの？」
「大きくてとっても危険だ」
ふーん、どうもぴんと来ない。
山のような糞を見かける。サイの糞だそうだ。
サイって大くそするんだなと思っていたら、どうやら数匹がまとまって一か所にするらしい。連れ糞か。
真新しいものがあった。ガイドに一瞬緊張が走る。
木の上に登り辺りをうかがう。異常はなさそうだ。
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虎の足跡。真新しい。 |
ガイドが立ち止まって遠くを指さしている。今度はなんだろう。
「Deer｣
鹿？ジーっと目を凝らすといた、いた。子連れの鹿だ。
こちらの様子をうかがっている。カメラを取り出して写真を撮ってたら走り去っていった。
しばらくジャングルの中を歩いた後に道に出た。
道には虎の足跡があった。めったに見れないらしいが、やはりいること はいるらしい。
見てはみたいが、今は会いたくないゾ。
出てくるなら象に乗っているときにしてくれ。
結局、このジャングルワォークで見れた動物は幸か不幸か鹿だけだった。
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川は歩いて渡る |
いいでしょ、こういう風景って。 |
宿に戻ってランチをとった後、今度はJeep Safariに出かける。
大きなJeepがやってきた。だれも乗ってなかったので客は一人だけかな と思っていたら、そんなことはなく、あちこちの宿を廻って客をかき集 め、川を渡るころには客だけで荷台に7人、助手席に二人も乗らされていた。
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| Jeepはジャングルのなかをひたすら走る |
またもジャングルの中の道を走る。
日ざしは相変わらず強い。こりゃあ、焼けるな。
客はほとんどが白人。
最初はおとなしく乗っていたものの、鹿を見つけると大騒ぎ。
みんな荷台に立ち上がって写真やらビデオを撮りまくる。
「立っていた方がよく見えるよ。なにか見つけたらすぐに言ってくれ。車を止めるから」
とガイドが言ったものだからずーっと、立ち放し。
それでも鹿以外の動物はなかなか姿を現さない。
満員の客を乗せてJeepはただひたすら走る。
夕方になり、どうやら雲行きが怪しくなってきた。雷もなり始めた。
立ちっぱなしで疲れたし、そろそろ帰りたいなと思い始めたころ、「Beer！｣と声がかかり、車が止まった。
前方に確かにクマがいる。しかも2匹。多分親子だろう。
しばらくきょとんとしていたが急いで逃げていった。
車に乗っているときでよかったとつくづく思った。
このあと、サイの親子が遠くで歩いているのも見ることができた。
やはり、夕方になり、晩飯の時間になったからだろう。
夕立に追われるように車を飛ばし、雨には降られながらもびしょびしょ
にはならずにすんだ。
ちなみにこのJeep Safariはオプションツアーだった。(700Rp)
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| 途中の休憩所で見かけたレパードの子供。 かわいいがちょっと凶暴。 |
宿に戻り一休みしていると晩飯の時間になった。
今日は電気がついている。裏の方でエンジン音が聞こえるということはどうやら自家発電のようだ。
飯は、なんか勘違いしている洋食で相変わらずうまくない。
Jeep Safariに出かける前に到着した日本人カップルと一緒に食べる。
ビールを頼むと一応冷蔵庫から取り出すのだが生ぬるい。
自家発電だからしかたないか。
今晩はこれからダンスショーがあるというので雷の鳴り響く中、宿のJeepで村の公民館のようなところへ行く。
タルー族の踊りが始まる。
村の青年団が村興しのために一生懸命やっているような熱意は感じるのだが単調なため眠くなってしまう。
一時間ほどでこの催眠術から解放され宿に戻る。
あ〜あ、眠かった。
「ビールでも飲みませんか」と先ほどのカップルに声をかけられた。
じゃあということでちょっと飲むことにする。
このカップルはインドに行ったことがあるらしく、インドと、今回ネパールに来る途中で立ち寄ったバングラとそしてネパールとの比較で盛り上がった。
バングラでは空港の人のかずに圧倒されたそうだ。
結論としてはネパールは楽だということになった。
今日は疲れたな。明日はポカラへ移動だ。